yamamizuh’s diary

沖縄県の北部・東村にある自然と民俗の博物館です

カラスバト

 

皆さん、こんにちは。

学芸員の金城です。

 

 

先日、国頭村にある環境省の施設「ウフギー自然館」の

屋根掃除(という名目の植物採集)をしていたら‥

 

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▲こ、これは‥!!

 

 

ドラゴンフルーツが芽を出していました!

鳥かコウモリでしょうか‥こんな隙間でいけるのね。

こんなところでも生きていけるなんて、植物は本当にたくましいです(^-^)

 

 

さて、皆様。

そしてT高校のF門くん(質問ありがとう!)

 

カラスバト」って見たことありますか?

 

私も鳴声だけしか聞いたことがないのですが、

「ウッウ~、ウッウ~」と低い太い声で鳴くハトです。

私が聞いたときは夕方でした。

 

見た目はどんな感じかというと‥

 

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▲ちらりとのぞく光沢がオシャレ?なハトです

 

カラスバト(ハト目ハト科/Columba janthina janthina Temminck

 ・体長:全長約40cm

 ・分布:伊豆諸島から紀伊半島までの本州太平洋岸の海岸部とその付属島嶼

     九州の海岸部とその付属島嶼隠岐、津島、屋久島、口之永良部島

     薩南諸島沖縄諸島に分布(佐渡・四国・五島列島男女群島・種

     子島からも記録がある)

 ・形態:全身が黒色、頭から後頸部・頸部から胸にかけて紫や緑色がかる金属

     光沢がある。くちばしは暗青色、脚は暗赤色である

 ・生態:海岸近くや付属島嶼広葉樹林と潅木林に生息。食物はほとんど植物

     食でシイ・タブ・ツバキとその他の常緑広葉樹の堅果を好む

 (沖縄県レッドデータブック第3版・動物編より)

 

名前の由来はモチロン黒い見た目!

伊豆諸島では鳴声から「ウシバト」とも呼ばれるようです。

(やんばる野生生物保護センターの佐藤さんより)

 

結構広い範囲で分布している、この真っ黒なハト。

範囲とは裏腹に生息数は多くなく、

沖縄県レッドデータブックでは「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」

環境省レッドデータブックでは「準絶滅危惧」

そして「国の天然記念物」に指定されています。

 

ちなみに沖縄にしかいなかった「リュウキュウカラスバト」は

1904年に絶滅してしまいました‥。

 

様々な病気の治療薬が生き物の成分から得られるように、

1つの種が絶滅することは今後大きな足かせとなって

私たちに返ってくる可能性が大いにあります。

 

そして絶滅した生き物が再びよみがえることはありません。

近年起こっている動植物たちの絶滅は、私たち人間の活動によるものが殆ど。

しかし今生きている動植物を絶滅させないように働きかけられるのも、

また私たち人間にしかできないことです。

 

できることから1つずつ!

 

★動植物は飼うなら責任をもって最後まで育てる(外来種対策)

★やんばるをドライブする時は低速で(ロードキル防止)

★やんばるの貴重な動植物を持って帰らない(密猟)

 

これを皆が守るだけでとても良い環境になっていくと思います。

ぜひ、ご協力をお願いします(^^)